はじめに:投資の本質は「自分との対話」
投資で資産を築くには、情報収集や分析力、戦略的な判断が必要です。
しかし、それ以上に重要なのが「自分の感情をどうコントロールするか」という視点です。
私はこれまで20年以上にわたり、株式投資や信用取引を経験し、暴落や急騰といった相場の荒波を何度も乗り越えてきました。FIRE(経済的自立と早期リタイア)を達成した今振り返ると、最も苦労したのは「マーケット」ではなく、実は「自分自身の心理」との闘いだったのではないかと感じています。
この記事では、投資における代表的な12の心理バイアスを紹介しながら、私自身がどのようにそれらと向き合ってきたかをお話しします。これから投資を始める方、すでに運用を続けている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
※本記事は、野村證券「行動経済学コラム」のバイアスを参考にしました。
📉 投資で陥りやすい12の心理バイアス
| バイアス名 | 内容 |
|---|---|
| 自信過剰 | 自分の短期的な選択に自信を持ち過ぎて過剰に取引する |
| 後悔回避 | 後悔するのが嫌で損切りできない |
| 損失回避 | 利益と損失では同じ金額でも損失の方が大きく感じる |
| メンタルアカウント | お金に色を付けてみてしまう |
| 主観確率 | めったに起こらないことをもっと起こると感じる |
| 決定麻痺 | 選択の際に多すぎる情報を与えられると決定できなくなる |
| 群集心理 | 自分の投資判断なのに、周囲の多数意見に同調してしまう |
| 保有効果 | 自分が保有しているものに高い価値を感じて、売りにくくなる |
| アンカリング | 判断に無関係な数字に影響を受けてしまう。「高値覚え」の原因 |
| 認知的不協和 | 自分の判断に反する事実から目をそらし、都合の良い思い込みを続ける |
| 現状維持 | 合理的には変えたほうが良くても、現状維持を選んでしまう |
| 双曲割引 | 短期的な利益を過剰に求めてしまう。ダイエットが難しい理由の一つ |
🧠 私の実体験:バイアスとの闘いと気づき
🔰 投資初期:ほぼすべてのバイアスに陥った
投資を始めたばかりの頃、私はこの表にあるほとんどすべてのバイアスに影響されていたように思います。それはそうですよね。ある意味人間の本能なんですから投資に慣れていない人はみな同じだと思います。
その中で特に強く感じたのは「後悔回避」「損失回避」「認知的不協和」です。
これらの罠にはまると次のような状態に陥ります。
損失が出ている銘柄を「いつか戻るだろう」と信じて塩漬けにし、損切りができない。
すでに投じた資金や時間がもったいなくて、合理的な撤退判断ができない。
そんな状態が長く続き、資産は思うように増えませんでした。
また、うまくいかないことが続くと「群集心理」に流されて、SNSや掲示板で話題の銘柄に飛びついたこともあります。
「みんなが買っているから安心だろう」と思い込んでしまい、結果的に高値掴み。
また「決定麻痺」に陥って、情報が多すぎて正しい判断ができなかったこともありました。
これらについては、そのバイアスについて知ることと、何度かその罠にハマって失敗することで「それじゃいけないんだ」と気が付くときがくると思います。まずは、人間はこういうように考えてしまう生き物なんだというのを自覚するところから始めましょう。
📈 資産形成が進むと現れる“新たな罠”
初期のバイアスを克服し始めると徐々に成果が出始めるのではないでしょうか。しかし、資産が増え始めると、今度は別のバイアスが顔を出します。
「自信過剰」によって、自分の判断に過剰な自信を持ち、売買を繰り返してしまう。
「保有効果」によって、保有している銘柄に愛着が湧き、売却の判断が鈍る。
「認知的不協和」によって、自分の判断に反する情報を無視し、都合の良い情報ばかりを集めてしまう。
この時期は、ある意味「資産が増えたことによる慢心」が生まれやすいフェーズです。
私も例外ではなく、「自分のやり方は正しい」と思い込み、リスクを過小評価していた時期がありました。
しかし、相場はそんな甘くありません。
この罠にはまってチャイナショックやコロナショックでは数千万の大損失を経験しました。
これらのバイアスについては、何度か暴落を経験する中で、自分の判断の甘さや感情の揺れを痛感し、自分は決して特別な存在ではなくたまたま運がよかっただけと自分の実力を過信しないようになっていきました。投資は常に謙虚に冷静に判断することが求められます。
🎯 今もなお向き合っているバイアス:アンカリング
現在でも、うっかりすると罠にハマりやすいのが「アンカリング」です。
私はチャート分析もよく行うのですが、どうしても過去の株価が目に入ってきてしまいます。
すると、「この銘柄は過去に○○円まで下がったから、今回もそのあたりで下げ止まるのではないか」
あるいは「以前の高値が○○円だったから、そこが天井になるだろう」といった思考に引きずられてしまうのです。
実際に過去の株価が支持線や抵抗線になることもあるので多少意識することはあるのですが、それは多くの投資家がアンカリングの罠にハマっているからこそ起こる現象なのかなと思います。スイングトレードなどではこのアンカリングをうまく利用できれば勝てる時もあります。
しかし、こうした“過去の数字”に縛られていると、「損小利大」の原則を実現するのは難しくなります。
本来であれば、現在のファンダメンタルズや需給、将来の成長性をもとに「今の適正価格」を見極めるべきです。
私は今、「自分である程度の安値予想・高値予想を立てる力」を養うことを意識しています。
過去の数字に頼るのではなく、現時点での合理的な判断を積み重ねる。
それが、アンカリングから距離を取るための一歩だと感じています。
✍️ 投資で成功するための大事な問い
投資で成功するために必要なのは、自分自身の土台。それは感情や考え方をコントロールすることです。その土台がないと、いくら知識があってもうまくいかないと思います。
私自身、これまで数々のバイアスに陥ってきました。
損失を恐れて損切りできず、群集心理に流されて高値掴みし、保有銘柄に執着して売却をためらう。
そして今もなお、アンカリング効果には注意を払っています。
こうしたバイアスは、完全に克服することは難しいかもしれません。
しかし、冷静な判断を保つための「問い」を持ち続けることは、非常に有効だと感じています。
💡「今、この銘柄を買いたいと思えるか?」
この問いを定期的に自分に投げかけることで、保有銘柄に対する執着や惰性を排除できます。
そして、ただ感覚的にそう思えるかだけでなく、ファンダメンタル分析やテクニカル分析を通じても「買いたい」と思えるかどうかを確認することが大切です。
私の場合、チャート分析をよく行うため、過去の株価がどうしても目に入ってきます。
その結果、「過去の安値で下げ止まるのでは」「以前の高値が天井になるのでは」といったアンカリングに引っ張られがちです。
しかし、損小利大を目指すには、こうした過去の数字に縛られていては達成できません。
だからこそ、「今のこの銘柄は、今の自分が買いたいと思えるか?」という視点を持ち続ける。
それが、感情に流されず、冷静な投資判断を下すための土台になると実感しています。
🧭 最後に:投資は「自分との対話」である
投資は、マーケットとの勝負であると同時に、自分自身との対話でもあります。
どれだけ情報を集めても、どれだけ分析しても、最後に判断を下すのは「人間」である自分です。
だからこそ、それぞれのバイアスの罠にハマらないように、ある意味人間らしさに逆らうことが大事になります。
それが、長期的な資産形成を可能にし、FIREのような目標達成にもつながると私は信じています。











