「先に攻めて、後で守る」──私が低入金力からFIREを掴み取った『リスク前倒し』戦略

「投資は、まずはインデックス投資でコツコツ始めるのが正解」
新NISAの普及もあり、今やこれが投資界の「常識」となりました。
もちろん、それは一つの正解です。しかし、私の歩んできた道は少し特殊な「先行逃げ切り型」でした。
- 資産が少ない時期に、リスクを取って一気に「資産の土台」を作る
- 目標水準が見えてきたら、インデックスやバランス型で「鉄壁の守り」に入る
世間のセオリーは「最初は安全に、慣れたらリスクを」ですが、私はなぜあえて逆の順序を選んだのか。そこには、限られた入金力の中で一歩踏み出すための、自分なりの「筋の通った合理性」がありました。
■ 「入金力」の限界と、当時の投資環境
私がこのルートを選んだ背景には、切実な理由がありました。それは、毎月の「入金力」がけっして高くはなかったということです。
インデックス投資で着実に資産を築くには、「入金力」と「時間」が必要です。普通の会社員として家族を養いながら、限られた余剰資金でステージを変えようとしたとき、コツコツ積み上げるだけでは目標に到達するまでに時間が足りなくなってしまう……そんな焦燥感がありました。
加えて、当時の投資環境も今とは全く違いました。
今はスマホ一つで低コストな積立設定ができますが、当時は今ほどインデックス投資が王道として広まってはいませんでした。もし、当時から「オルカン一本でOK」という環境だったら、私もまた違った道を歩んでいたかもしれません。
しかし、当時の環境と自分の入金力を天秤にかけた結果、私が導き出した答えは「リスクを取る時期を、人生の早い段階に前倒しする」ことでした。
■ 資産が増えてからの信用取引に潜む「罠」
世間では「投資に慣れ、資産ができてから信用取引を」と言われることもあります。確かに経験を積むことは大切ですが、資産ができてからのレバレッジには細心の注意が必要です。
「暴落時だけ使う」といった厳格なルールと、それを守り切る固い意志があれば別ですが、ついレバレッジをかけ過ぎてしまうのが人間の性です。
何より恐ろしいのは、精神的なダメージの質です。
・信用取引で稼いだ「あぶく銭」を溶かすこと
・毎月の給料からコツコツと、何年もかけて積み上げた資産を溶かすこと
この二つのショックは、全く別物です。前者のショックはもともとなかったものと割り切れば立ち直りも早いですが、後者のように長年の努力の結晶である資産を、一瞬の判断ミスや暴落で失ってしまうことは、人生において取り返しのつかないダメージになり得ます。だからこそ、資産が育った後は「守り」に徹することが何よりも重要になるのです。
■ 「リカバリー能力」を武器にする戦略
資産が少ない時期の私を支えたのは、「人的資本(将来稼ぐ給料)」という最強のバックアップでした。たとえ手元の少額な資金を失っても、数年の労働で取り戻すことが可能です。つまり、若い時の高額ではない損失は人生における「軽症」で済みます。
「リスクを取るなら、取り返しがつくうちに。」
入金力が低かった私にとって、この「人的資本」を担保にしたリスクの前倒しは、非常に現実的な生存戦略でした。
■ 資産が育った今は「守りながら増える投資」へ
リスクの先行取りという時期を経て、現在の私の投資スタンスは180度変わりました。
資産が目標水準に達した今、過度なリスクを取り続けることはもう合理的ではありません。現在は、世界経済の成長に身を任せるオルカンやバランス型投信の比率を高め、資産寿命を延ばすフェーズに入っています。
また、JEPQなどのインカム資産により生活の柱はすでにある程度完成しており、これ以上リスクの高い商品を追い求める必要もなくなりました。若い時に取った「勇気あるリスク」のおかげで、今は「投資を忘れて過ごせるほど安定した運用」へとたどり着くことができました。
■ まとめ:あなたの「フェーズ」はどこですか?
私が選んだ「先行逃げ切り型」のルートは、万人に勧められるものではありません。しかし、「限られた入金力で、どうやって現状を打破するか?」を考え抜いた結果、私にとってはこれが最善の道でした。
今は当時と違い、素晴らしい制度が整っています。それでも、「今の自分はどのフェーズにいて、どこでリスクを取り、どこで守るべきか?」を客観的に判断することの重要性は変わりません。
「今のペースで目標に届くのか?」「今のリスクは、失った時に立ち直れるものか?」
この記事が、皆さんの投資戦略を見つめ直すきっかけになれば幸いです。












