投資を始めてから20年以上。振り返れば「入金力が低い」という制約の中で、試行錯誤しながら投資スタイルを変えてきました。今回はその遍歴をまとめ、同じように資産形成に悩む方に参考になればと思います。


20代前半:少額投資から信用取引へ

学生時代から投資をはじめ、その後も社会人になりたての頃は、毎月の余剰資金も少なく「小さい額でちょこちょこ投資」していました。しかし当然ながら資産はほとんど増えません。そこで思い切って信用取引にチャレンジ。戦略は「低位株の逆張り」。(といっても単純に資金が少ないので低位株ぐらいしか買えなかった。それと逆張りといっていますがこのころはチャートを見て下がっていたら「安い」と勘違いしていただけなのですが。。。)
少ない資金でもレバレッジを効かせられる信用取引は魅力的でしたが、リスク管理の難しさを痛感する時期でもありました。それでももともとの金額が大きくため失敗してもたかが知れいている額なので生活が困窮するということはありませんでした。


20代後半:裁量トレードからシステムトレードへ

信用取引での逆張り戦略はうまくいかず、買えば下がる。売れば上がる経験を何度もします。そんなことから裁量トレードに限界を感じた時期でした。そこで興味を持ったのがシステムトレード。このころちょうどシストレが世に出始めたころで試しに始めてみました。シストレは過去のデータをもとに売買ルールを構築し、機械的に取引する方法です。しかし実際にはシステムごとに上昇相場が得意なシステム、下落相場が得意なシステム、ボックス相場が得意なシステムといったように「相場環境ごとに向き不向きのシステムがある」ため、どのシステムを選ぶかという点で結局裁量から抜け出せないことに気づきました。結果としてシステムトレードも結果が振るわず諦めることになります。


30代:成長株投資と新高値ブレイク投資

30代に入って出会ったのが成長株投資新高値ブレイク投資。その時読んだ投資本をきっかけに真似して始めてみました。企業の成長性に注目し、株価が新高値を更新するタイミングでエントリーする戦略です。これが投資成績好転のきっかけとなりました。アベノミクス相場の最中ということもありその恩恵は大きく、資産が一気に増えた時期でもあります。


40代:配当金生活を目指して高配当株へ

成長株投資新高値ブレイク投資で資産を増やし、もともと目標にしていた配当金生活に向けて40代からは個別高配当株への投資にシフトしました。現物株では高配当銘柄を中心に保有し、信用取引ではこれまで通り成長株投資や新高値ブレイク投資を継続。信用取引で得た売却益は高配当株購入に充てることで、資産増加と配当金増加を加速させる戦略を取りました。


現在とこれから:分配型商品と新NISAを活用した定率売却戦略

現在は、個別株の高配当だけでなく、毎月分配型投資信託高配当ETF、さらにカバードコール戦略ETFなど、分配型商品を幅広く活用しています。その結果、毎月の配当で生活費をほぼ賄える状態にまで到達しました。

最近興味を持っているのが、オルカンなどの分配なし投資信託をNISA枠で購入し、定率・定額で売却していく戦略です。戦略と理由は以下の通りです。

  • 税効率の観点からは分配なしの方が有利
  • そもそもNISA口座なら売却益は非課税で値上がり分が丸々手に入る
  • 新NISAでは売却すれば翌年以降非課税枠が復活する
  • 復活した非課税枠はさらにオルカンを買い増し

すでに資産と配当は十分に確保できているため、今後は「積み立てて増やす」フェーズではなく「資産を積極的に使っていく」フェーズに移行しようと考えています。NISA枠が埋まった段階で、定率・定額売却を行い、売却額はその時の資産状況を見ながら柔軟に決めていく予定です。そうすることで毎月の配当金+投信の定期売却分が毎月のフローとなりさらに毎月の生活に余裕をもたらしてくれそうです。


まとめ:入金力が低くても投資スタイルの工夫で資産形成は可能

振り返れば、少額投資から始まり、信用取引、システムトレード、成長株投資、高配当株投資、分配型商品、そして今後新NISAを活用した定率売却戦略へと、投資スタイルは大きく変化してきました。

入金力が低くても、投資スタイルを工夫し、相場環境に合わせて柔軟に戦略を変えることで資産形成は可能です。これからは「資産を増やす」だけでなく「資産を使う」ことも視野に入れ、人生のフェーズに合わせた投資を続けていきたいと思います。