前回の記事でカバードコールについて身近な例に例えてみましたが、そのあとでふと契約農家に例えるとより分かりやすいかもと思ったので続編として記事にしました。今回は 契約農家 を題材にして、カバードコール戦略を分かりやすく整理してみます。

前回記事はこちらから👇


契約農家の仕組み

契約農家とは、食品メーカーやスーパーなどと事前に契約を結び、作物の種類・数量・価格を決めて栽培・販売する仕組みです。

  • 市場価格が下落しても契約価格で売れるため、収入は安定する。
  • 一方で、市場価格が高騰しても契約価格でしか売れないため、追加利益は得られない。

つまり「安定収入を得る代わりに、上振れの利益を諦める」仕組みです。


カバードコール戦略の仕組み

カバードコールは、株式を保有しながらその株に対してコールオプションを売る戦略です。

  • オプションプレミアムを得られるため、収入が安定する。
  • 株価が大きく上昇しても、権利行使価格以上の利益は得られない。

こちらも「安定収入を得る代わりに、上振れの利益を諦める」戦略です。


契約農家とカバードコールの比較

両者の構造を並べると、非常に似ていることが分かります。

観点契約農家カバードコール
安定収入の源泉契約価格での販売オプションプレミアム
上振れ制限市場価格が高騰しても契約価格で固定株価が上昇しても権利行使価格以上は得られない
リスク緩和市場価格下落時でも契約価格で売れる株価下落時でもプレミアムが損失を一部補填

契約農家は「農業版カバードコール」と言えるほど、構造が似ています。


イメージで理解する

例えば、農家がトマトを契約価格100円で販売する契約を結んだとします。

  • 市場価格が80円に下落しても、契約価格100円で販売できるため収入は守られる。
  • 市場価格が150円に高騰しても、契約価格100円でしか売れないため追加利益は得られない。

これを株式に置き換えると、

  • 株価が下落してもオプションプレミアムが損失を緩和する。
  • 株価が大きく上昇しても、権利行使価格以上の利益は得られない。

このように、契約農家の仕組みを理解すれば、カバードコールの構造も理解しやすいのではないでしょうか。


投資戦略としての位置づけ

カバードコールは「守りの戦略」として位置づけられます。

  • 大きな利益を狙うよりも、安定収入を重視する投資家に向いている。
  • 下落局面では損失を緩和し、横ばい局面ではプレミアム収入が積み上がる。
  • 契約農家が「安定した販路と収入」を得るのと同じように、投資家も「安定したキャッシュフロー」を得られる。

まとめ

契約農家は「安定収入を得る代わりに上振れを諦める」仕組みであり、カバードコール戦略も同じ構造を持っています。両者を比較することで、投資初心者でも「なぜカバードコールが安定収入をもたらすのか」を直感的に理解できるのではないでしょうか。