― そのために必要なのは“シナリオ”と“原因分析”、そして“過信しない姿勢”

投資の世界では「同じ失敗を繰り返さないことが大事だ」とよく言われますし、私の発信でもよく言っていることです。
しかし、これは簡単そうに聞こえて実はとても難しい。
なぜなら、失敗を繰り返さないためには、まず“何が失敗だったのか”を説明できなければならないからです。

「銘柄選びが悪かった」「タイミングが悪かった」
この程度の振り返りでは、運が悪かったと言っているのと大差ありません。
それでは次に活かせないし、成長にもつながらない。

投資家として前に進むためには、もっと深いレベルで原因を分析する必要があります。


1. 失敗を繰り返さないのは簡単ではない

投資の失敗は、往々にして“結果”だけを見て判断されがちです。

  • 下がった → 失敗
  • 上がった → 成功

しかし、これは投資の本質から外れています。
結果はあくまで結果であって、そこに至るプロセスが重要です。

プロセスを言語化できない投資は、再現性も改善余地もありません。


2. そもそも「何が失敗だったのか」を説明できるか

失敗を分析するには、まず“期待していた未来”が明確である必要があります。

  • なぜその銘柄を買ったのか
  • どんな未来を想定していたのか
  • どの条件が揃えば上がると考えたのか

これらが曖昧だと、失敗の原因を特定できません。

「なんとなく上がりそうだった」
「割安に見えた」
「SNSで話題だった」

こういう理由では、振り返りようがない。


3. シナリオを持たない投資は失敗分析ができない

投資には自分なりのシナリオが必要です。

● ファンダメンタルズのシナリオ

企業の本質的価値や業界構造に基づくもの。

例として:

  • 市場シェアが伸びると判断した
  • 規制緩和で業界全体が追い風になると見た
  • 営業利益率が改善し、収益構造が強化されると見込んだ
  • 海外展開が軌道に乗り、成長ドライバーが増えると期待した

これらは「企業の未来像」を描くシナリオです。

● テクニカルのシナリオ

需給や価格の動きに基づくもの。

たとえば:

  • 長期トレンドラインを上抜けたので上昇トレンド入りと判断した
  • 出来高を伴ったブレイクアウトが発生したので買いが優勢と見た
  • 200日移動平均線を割り込んだので下落トレンド継続と判断した
  • ボックス相場の下限で反発すると想定した

これらも立派な“シナリオ”です。


4. どんなシナリオも“確証”ではない

ここが最も重要なポイントです。

どれだけ丁寧に組み立てたシナリオであっても、
その通りになる確証はどこにもありません。

ファンダメンタルズもテクニカルも、
あくまで“確率の話”であって、未来を保証するものではない。

だからこそ、投資家にとって最も危険なのは
自分のシナリオを信じすぎること=過信
です。


5. 過信が生む最大の失敗

私自身、過去に最も大きな失敗をした時は、
自分のシナリオを過信してしまった時でした。

  • ポジションを取りすぎる
  • 損切りができなくなる
  • 想定外の動きに対応できなくなる

こうした失敗の根本には、いつも“過信”がありました。

シナリオはあくまで仮説であり、
外れた時にどう動くかまで含めて初めて“シナリオ”になります。


6. 失敗分析は投資家の成長エンジンになる

失敗は痛いものですが、
シナリオを持って投資し、外れた理由を分析できる人は長期的に必ず強くなる。

  • 判断の癖が見える
  • 情報の取り方が洗練される
  • シナリオの精度が上がる
  • リスク管理が上達する
  • 感情に流されにくくなる

つまり、
失敗分析は“投資家としての成長サイクル”そのものです。


まとめ

失敗を繰り返さないためには、

  • 買う前にシナリオを持つこと
  • 外れた時に原因を分析すること
  • どんなシナリオも過信しないこと

この3つが欠かせません。

投資は未来を当てるゲームではなく、
外れた時にどう動くかを磨き続けるゲームです。

失敗は避けられません。
しかし、失敗を“資産”に変えられるかどうかは、投資家次第です。