【デフレの終わりと、150円の「現在地」】

「最近、スーパーの会計が妙に高いな……」

そう感じる場面が、ここ数年で急激に増えた気がしませんか?

これまで30年以上続いてきた「デフレの日本」は終わりを告げ、今やエネルギー価格や食料品の上昇、そしてサービス価格の引き上げが日常茶飯事となっています。投資家にとって、この「インフレ基調への転換」は、単なる物価高以上の意味を持ちます。それは「お金の価値が目減りしていくスピードが上がった」という警鐘です。

特にインカムゲイン(分配金)を重視する投資家にとって、その影響は深刻です。

例えば、「世界のベスト」の愛称で親しまれる『インベスコ 世界厳選株式オープン』。2020年1月から一貫して「毎月150円(1万口当たり)」という安定した分配金を出し続けてくれています。

FIRE後の生活や、日々の暮らしに潤いを与えてくれるこの「150円」は、確かに素晴らしい選択肢です。私も保有していますし、実際に生活に潤いを与えてくれています。しかし、2020年の150円と、2026年の150円、そして30年後の150円……。これらは果たして、同じ価値を持っているのでしょうか?

出典:International Monetary Fund(国際通貨基金)


【インフレの恐怖:30年後に価値は「半分」になる?】

ここで、投資の基礎知識である「72の法則」をインフレに当てはめてみましょう。

72 ÷ インフレ率 = 物価が2倍(貨幣価値が半分)になる年数

もし今後、年率2%のインフレが継続した場合、計算上は約36年でお金の価値は半分になります。インフレが本格化した2022年からすでに約4年が経過していることを考えると、今から約32年後には、今の150円は実質的に「75円程度の価値」しかなくなっている計算です。
すでに2022年以降のインフレが始まっているのですでに150円の価値は削られている状態です。

これだけ分配金があれば老後も安心だと思っていたら、いざ老後になったらインフレが進んでいて今の分配金だけでは足りない!?
なにも対処していないとそんな可能性もあります。
インフレってそんなに続くの?と思われるかもしれませんが、世界のインフレ率(下図)を見てみると1980年以降2%を下回った年はありません。

出典:International Monetary Fund(国際通貨基金)

世界のベストはインフレ禍でどう推移してる?

ここで着目したいのは、「世界のベスト」の基準価額が2020年当時から現在まで、大きな成長を見せず横ばいで推移している点にあります。基準価額が伸びなければ、おそらく分配金も150円から引き上げられる可能性は低いと考えざるを得ません。もし分配金を上げたらそれこそタコ足と言われるように基準価額は右肩下がりになる可能性があります。

出典:みんかぶ


【戦略の再設計:私たちはどう動くべきか?】

「世界のベスト」に頼りすぎることがリスクになる。そう気づいた時、私たちにはいくつかの道があります。

1. 「口数」を増やして名目額で対抗する

もし今の「実質的な生活水準」を維持したいのであれば、分配金が150円固定であることを逆手に取り、インフレのスピードに合わせて「世界のベスト」を買い増ししていくという選択肢があります。

  • 受け取る「総額」を物理的に増やすことで、目減り分をカバーする戦略です。

2. 「成長の翼」を取り入れる

一方で、より盤石な体制を築くなら、物価上昇に合わせて資産そのものが膨らむ商品を取り入れることが不可欠です。

  • オルカン(全世界株式)やS&P 500: 企業の利益成長がインフレを上回る歴史的な実績があり、資産の「背丈」を伸ばしてくれます。
  • ゴールド(金): 「紙幣の価値」が下がる局面で真価を発揮する、歴史的なインフレ対策資産です。

出典:みんかぶ


【結び:今の自由と、未来の自由を両立させるために】

今の生活を充実させるための「世界のベスト」は、投資家にとっての「整い」を象徴するような、素晴らしいツールです。無理に手放す必要はありません。私も保有していますし今のところ手放すつもりはありません。今後は前回のブログでも書いたように資産成長を狙ってオルカンやS&P500などの割合を増やしていきたいなと考えています。そして、将来的にはそれらの資産を定率売却していこうかと。

大切なのは、「キャッシュを生む資産(世界のベスト)」と「成長を担う資産(オルカン・ゴールド等)」のバランスを、時代の変化に合わせてデザインし直すことです。

30年後の自分が「あの時、インフレを想定して動いていてよかった」と穏やかな気持ちで過ごせるように。今の心地よさに甘んじることなく、ポートフォリオに少しの「攻め」と「未来への備え」を加えてみませんか。