今年の3月末に公務員を退職し、FIRE生活がスタートしました。5月も半ばを過ぎて、新しい日常のペースが少しずつ掴めてきたところです。

ただ、この生活になってから、これまでの人生で経験したことのない不思議なソワソワ感を味わっています。それは、毎月当たり前のように口座に振り込まれていた「給与」が、本当にパタリと止まったことです。

運用の数字を見れば、理論上はもう働かなくても生きていける。頭では分かっているんです。だけど、いざかつての給料日が近づいてきても口座の数字がピクリとも動かないのを見ると、なんとも言えない心細さがじわじわと湧いてくるんですよね。

お金はあるはずなのに、入ってくる「流れ」が止まるだけで、人間ってこんなに落ち着かなくなるものなんだな、と身をもって知りました。


「やったことがない」からこそ、容易に想像がつく取り崩しの恐怖

ネットやSNSの投資界隈を覗くと、「毎月分配型なんて効率が悪すぎる」「インデックスをガチホして、必要な分だけ取り崩すのが正解」という声が圧倒的ですよね。理屈としては、ぐうの音も出ないほど正しいと思います。

実は私、これまではずっと個別株投資が主体で、いわゆるインデックス投資の恩恵はまだほとんど受けていません。これからオルカン(全世界株式)などにも投資して、その果実を分けてもらおうと考えている段階です。

つまり、巷でよく言われる「毎月の資産取り崩し」という行為を、実際にやったことは一度もありません。

だけど、やったことがなくても、そのストレスや生々しい恐怖が容易に想像できてしまうんですよね。

もし自分がこれからの長い人生、生活費のために毎月自分の手で「保有している資産を売却するボタン」を押し続けなければならないとしたら。それがもし、相場の暴落期と重なっていたら……。いくら理論上は大丈夫と言われても、自分の身を削るような作業に、メンタルがガリガリと削られていく未来がはっきりと見えました。

だから私は、効率を少し犠牲にしてでも「自分で取り崩さなくても、向こうから勝手にお金が入ってくる仕組み」が欲しかった。それが、毎月分配の投資信託やカバードコールETFをポートフォリオに入れている一番の理由です。


総資産の25%以下。私が下した「心地いい妥協」

もちろん、私も毎月分配の仕組みが万能だとは思っていません。上昇相場でのリターンがマイルドになることや、税金のコストがかかることなどのデメリットは百も承知です。

だからこそ、そういった商品に全振りはしていません。

現在、私が保有しているJEPIやJEPQ、国内ETF(2865、2868など)といったカバードコール商品、さらには「世界のベスト」や「ネクストジェネレーション」といった毎月分配型の投資信託。これらすべての「毎月チャリンと現金が入ってくる商品」の合計額は、私の総資産の25%以下に抑えています。

「これくらいの割合なら、多少の投資効率を落としてでも、心の安定代として十分に許容できる」

それが、私が実際に自分の資産と感情に向き合って弾き出した、リアルな割り切りラインです。


かつての給与口座に「新しい給料日」を再現する

しかし、実際にこの運用を始めてみて、ひとつ物足りなさがありました。

こういう商品の分配金って、基本的には証券口座内の「買付余力(現金)」として反映されるんですよね。つまり、生活費として使おうと思ったら、結局は自分で証券口座から銀行口座へ「出金手続き」をポチポチと手動でやらなきゃいけない。

これだと、結局は自分の手でお金を引き出している生々しさが残るし、かつての「給料日」のようなワクワク感や安心感が今ひとつ得られなかったんです。

そこで最近、私が新しく取り入れたのが、SBI証券の「投信分配金自動振込サービス」です。

これは、投資信託から出た分配金が証券口座に留まることなく、自動で直接、指定した銀行口座に振り込まれるというサービス。私はこの振込先を、以前の「給与振込口座」に設定しました。

これが、想像以上に私のメンタルを救ってくれています。

何もしなくても、毎月決まった時期になると、かつての給与口座にチャリンとお金が振り込まれる。自分で出金ボタンを押す手間もなければ、「資産を切り崩している」という罪悪感もありません。システムが勝手に「かつての給料日」を再現してくれる仕組みを作れたことで、FIRE後の心の安定感が劇的に変わりました。

この「給与収入がなくなった今、それに代わる新たな定期収入を仕組みで作る」というお話は、先日の5月9日に登壇させていただいたサンワード証券さんでのセミナーでもお伝えさせていただきました。


投資の目的は、数字の最大化だけじゃない

投資の手法に「全員に共通する絶対の正解」なんてありません。

これから資産をどんどん大きくしていくステージにいる人と、私のように会社を辞めて、これからは資産を守りながらキャッシュフローを確保したいというステージにいる人とでは、選ぶべき武器が違って当然です。

理屈としての「最適解」を追い求めるあまり、毎日の生活が不安でギスギスしてしまっては、何のために資産を作ってきたのか分かりませんよね。効率を少し落としてでも、自分が一番機嫌よく、安心して暮らせる形を作る。それも立派な投資の戦略だと思うのです。

世間の「これが正しい」「非効率だ」というノイズから一歩引いて、「自分はどういう状態が一番ハッピーなのか」を基準にポートフォリオを眺めてみる。誰かの正解に無理やり自分を合わせる必要はありません。

皆さんは、今の自分の投資スタイルに「心からの安心感」を持てていますか?

この記事が、あなたにとっての「心地よい投資とライフデザイン」を考える、小さな気づきになれば嬉しいです。