1. お金はあればあるほど幸せ、という思い込み

「FIREを達成した」と言うと、「じゃあ、もう一生遊んで暮らせる数十億円の資産があるのかな?」とか、「実業家として大成功したのかな」なんて思われるかもしれません。

でも、私の答えは完全に「ノー」です。

かつての私は、確かにお金はあればあるほどいいと思っていました。数字が増えれば増えるほど、将来の安心が買えるような気がしていたからです。だけど、ある時ふと立ち止まって考えてみたんです。「使い切れないほどの資産を持って、私は一体何がしたいんだろう?」と。

結論から言うと、私には大富豪のような暮らしは必要ありませんでした。事業を立ち上げてガツガツ稼ぎ続けたいわけでもない。ただ、自分にとって心地いい暮らしが守れれば、それで十分だったんです。

2. 「ギリギリの節約FIRE」に潜む、小さな息苦しさ

一方で、限界まで生活費を削って、計算上の最低ラインで滑り込むようなFIREも、私の理想とは少し違っていました。

実は、資産形成の過程で、数円単位の細かい銭勘定や、キチキチに管理された家計簿に神経をすり減らした時期が私にもあります。でも、せっかく自由な時間を手に入れても、スーパーの10円の差に悩み続けたり、大好きな旅行や美味しいご飯を食べる時に「予算が……」と頭をよぎったりするのって、少し寂しいじゃないですか。

せっかく会社員を卒業して自由になったのに、今度は「お金のルール」に支配されてしまう。それでは本末転倒だなと。

3. 私が欲しかったのは「心地いい無駄」を許せる心の余白

じゃあ、私が本当に求めていた暮らしって何だろう?

突き詰めていくと、それは「日常生活がこれまで通り不自由なくできて、美味しいごはん屋さんに行ったり、ふらっと旅行やイベントに出かけたりできること」。ただそれだけでした。

そして一番大切なのは、そこに「多少の無駄や非効率を許せるゆとり」があることです。

家計簿をつけてガチガチに管理するのをやめる。細かいことは気にせず、行きたい場所へ行き、食べたいものを食べる。大金持ちにはならなくていいけれど、日常にちょっとしたプラスアルファの彩りがある。そんな「細かな銭勘定を気にしない暮らし」こそが、私にとっての本当の豊かさでした。正直まだそのレベルまでにはなっていないかなと感じているので、とりあえずそのレベルに達するまでは資産形成も並行して続けていきたいなと思っています。

4. 豊かさの「ものさし」は、自分で決めていい

投資の世界では、よく「4%ルール」とか「資産はいくら必要」といった一般的な正解が語られます。でも、必要な額や理想のライフスタイルなんて、本当に人それぞれです。

がむしゃらに資産を増やし続けるのが楽しい人もいれば、徹底的な節約にゲームのような喜びを感じる人もいる。どれが正解で、どれが間違いなんてありません。

ただ、もし今、資産形成の数字ばかりに囚われて息苦しさを感じているなら、一度自分に問いかけてみてほしいんです。「自分にとって、本当に必要なプラスアルファってなんだろう?」と。

私は、実業家のような大成功は目指しませんでした。だけど、今の「ちょうどいいゆとり」がある暮らしには、心から満足しています。あなただけの「心地いい着地点」、ぜひ探してみてください。