FIREしてちょうど半年が経った。自分自身がFIREしたことで、それまであっち側だった世界が、今はこっち側の世界になっている。
そしてこっち側の世界に来て半年経って、「FIRE」という言葉に、私たちは少し憧れすぎているのではないだろうかと感じるようになってきた。

「○歳でFIRE」
「資産○億円でFIRE」
「会社を辞めて自由になった」

「FIRE」という称号そのものが、一つのステータスになっているように感じることがある。
でも、そこまで焦ってFIREする必要があるのだろうか。

FIREって憧れるかもしれないけど、その実態は退職して安定した収入がなくなる無職の状態。そういう状態に不安を感じるようならまだFIREの決断は早いのかもしれない。

FIREにはいろいろな形がある。

FIREにはいろんな種類がある。あまり詳しくはないけど、完全に仕事を辞める人もいれば、サイドFIREやバリスタFIREのように、何らかの仕事を続ける人もいる。
私は、働いているからFIREではない、とは思わない。

「働かないと生活できない」のか、
「働かなくても生活できるけれど、あえて働いている」のか。

この違いではないだろうか。後者なら、十分に自立できていると思う。

大事なのはFIREの定義や働いている、いないではなく、自立出来ているかどうか。

それなのに「FIRE」という称号が欲しいあまりに完全に自立できていないのに退職してしまって、そのあと生活のために働いている。この状態をサイドFIREやバリスタFIREと称してFIREしたぜ!というのはさすがに厳しい。これは働く量を減らしたただの転職。

「FIREすること」を目的にして、背伸びをしてない?

本当はもう少し資産が必要なのに、ちょっと背伸びして会社を辞める。

「FIREしたのだから、もう雇われたくはない」と思い、その代わりに生活の足しにとブログやYouTubeなど、新しい収入源を無理に作ろうとする。

でも、会社員として安定して得ていた収入を手放して、そこから新しい仕事で同じように稼ぐのは簡単なことではない。

それなら、今の仕事を辞めずにあと数年続けてもいいと思う。
可能なら週5日を週3日にしてもいい。
責任を減らしてもいい。
そうやってもう少し資産を増やしてから辞めてもいい。

FIREすることを急ぐ必要なんてない。大事なのは自分の生活なわけであって、FIREするかどうかじゃない。

私自身、FIREする前の数年間は、もう辞めてもいいと思える状態で仕事をしていた。
不思議なことに、そうなるとそれまで嫌いで早く辞めたかった仕事が、以前ほど仕事が嫌ではなくなった。

嫌なことがあっても、「まあ、いつでも辞められるし」と思える。
会社からどう思われるかも、それほど気にならない。
仕事をしなければ生活できない、という感覚がなくなるだけで、ずいぶん気楽に働けるようになった。

だから私は、あまりFIREを焦らない方がいいと思っている。早く仕事を辞めたい気持ちはよくわかる。私もそうだったから。
でも背伸びしてFIREすると、FIREした後もお金に縛られる可能性がある。

FIRE後、株価が下がれば不安になる。
資産が減るのが怖くて、お金を使えない。
旅行や外食をするたびに出費を気にする。
少しでも資産寿命を延ばすために、生活を切り詰める。

会社からは自由になった。
でも今度は、資産残高から自由になれなくなる。

それは本当に「Financial Independence(経済的自立)」と言えるのだろうか。
それは単に早期退職しただけなのではないだろうか。

FIREの本質は、「仕事を辞めること」ではない

FIREの本質は退職することではなく仕事を辞めても大丈夫な状態を作ること。

そして、その状態になったうえで、
「もう働かなくてもいい」
「でも、もう少し働こう」
「週に数日だけ働こう」
「今の仕事が嫌になったら辞めよう」
と、自分で選べること。

これこそがFIの価値なのではないだろうか。
REはおまけみたいなものだ。

それにFIREのシミュレーションをしていた時、面白いことに気づいた。
FIREする年齢が1歳違うだけでも、結果は大きく変わる。
その1年間に数百万円の収入があるだけで、資産寿命は劇的に変わる。
だったら、まだ少し不安があるなら、無理に辞めなくてもいい。
ゆるく働きながら、もう少し資産を増やせばいい。

そして、「もう働かなくても大丈夫だ」
と思える時が来たら、その時に辞めればいい。

FIREは、誰かより早く達成する競争ではない。
「FIREした」という称号を手に入れるために、背伸びをする必要もない。

むしろ、「いつでも辞められるけれど、今は働いている」
という状態のほうが、精神的にはずっと自由なのかもしれない。

FIREを目指すなら、「いつ会社を辞めるか」ではなく、「どこまで資産があれば、お金を気にせず人生を選べるのか」を考えたい。

FIREという称号を手に入れることよりも、その後の人生の方が大事なんだから。