移動平均線が寄り添う「凪」の瞬間に仕込む、心穏やかな株式投資

画面の前で「よし、ここが買い場だ」とボタンを押した瞬間に、なぜかそこが天井になる。あるいは「もうダメだ、損切りしよう」と手放した途端、翌日から嘘のように株価が反発を始める。
投資をやっていると、誰もが一度は経験することじゃないでかと思います。まるで誰かが自分の取引を後ろから覗き見しているのではないかと、本気で疑いたくなりますよね。
もちろん私自身もさんざん経験しました。この「買ったら下がる、売ったら上がる」のループに何度も直面し、自分の才能のなさに本気で落ち込んでいました。資金が減るたびに胃がキリキリと痛んだのを覚えています。上がれば欲しくなり、下がれば怖くなって手放したくなる。これは人間の本能なので仕方のないことです。ただ、この感情の波に身を任せている限り、私たちはいつまでも市場の勢いに振り回され続けることになります。
凪のときに人知れずそっと仕込む
株価がグングン上がっているとき、チャートの移動平均線は大きく開いています。これはゴムを限界まで引っ張った状態のようなもので、いつパチンと戻ってきてもおかしくありません。
ここで飛び込むのは、順張りにせよ逆張りにせよ、本質的には一か八かのギャンブルに近い。正直、私も昔はスリルを求めてそんな取引をしていましたが、心臓が持ちませんでした。
では、どうすれば感情をフラットに保ち、勝率の高い取引ができるのでしょうか。
私が多くの失敗から学び、行き着いたのが、市場が迷って動きを止めている「凪(なぎ)」の時間を狙う方法です。具体的には、短期・中期・長期の3本の移動平均線がギュッと1本に重なり合い、株価もそのすぐそばで静かに息を潜めている状態を指します。
少しここで、実際のチャートをイメージしてみてください。
この「凪」の状態は、市場の参加者が「次に上に行くか、下に行くか」を決めかねて小休止しているサインです。値動きが地味で退屈だからこそ、私たちは最高に冷静になれる。動いているものを追いかけるから心が乱れるわけで、止まっているものを見るときは驚くほど客観的になれます。
ただ、ここで1つ疑問が浮かびますよね。線が重なっているだけなら、下に落ちるリスクだって同じようにあるじゃないか、と。
確かにその通り。だからこそ、この静かなタイミングで、企業分析を行います。
業績は伸びているか、何か新しい材料はないか、他のテクニカル指標はどうか。「下に行く予測」を当てるのは難易度が高いので、私は基本的には「上に抜けそうなエネルギーを秘めている銘柄」だけを、この凪のタイミングでそっと仕込みます。多くの投資家が「お、動き出したぞ」と騒ぎ出す頃には、特等席で準備を終えているわけです。
一般的にはチャートが右肩上がりの方がいいかなと思います。
ハラハラする投資スタイルに疲れているなら、ルーティンを変えてみる。
やることはシンプルです。あなたが今、気になっている銘柄や、いつも監視しているチャートをいくつか開いてみてください。
そして、3本の移動平均線がお互いに最も寄り添って、1本の線のようになっているものを1つだけでいいので探す。なければそれでいいし、あってもすぐに買う必要はありません。まずは企業分析をしてみて「あ、今はエネルギーを溜めている最中だな」と考えるだけで、ギャンブル的な投資家らは卒業できます。
投資は穏やかに長く続けるもの
動いているものを追いかけるのは疲れますし、感情のブレを引き起こします。株価が静かに収束しているときこそ、冷静に企業の本質を見極める絶好の機会です。
もちろん、投資のスタイルは人それぞれですし、この方法が絶対に正しいと強制するつもりはありません。私もたまに予想が外れて下に抜け、「あちゃー」と思いながら淡々と損切りをすることもあります。今でも普通に迷います。
それでも、心が激しくざわつく取引を続けるより、ずっと穏やかに、長く相場と付き合える。私はそう確信しています。
まずは「寄り添う3本の線」を宝探しのように見つけてみてください。いつもとは少し違う、静かな相場の景色が見えてくるはずです。












