「損切りは〇%、利確は〇%で機械的に設定しよう」

投資本やSNSでよく見かけるこの言葉。私もそのようにやっていた時期がありました。
でも、まず何%に設定したらいいのか、それにそもそも一律に決められるものなのか。と疑問に感じながら。

そして、実際にやってみるとこれが何とも心地悪い。「ここで売らなきゃいけないの?」と納得できずに損切や利確。そして、売った後に反転(怒)

そんなモヤモヤした経験をしたことはありませんか?

今回は、私の損小利大の考え方について解説します。

1. なぜ「〇%ルール」では勝てないのか?

先ほども書いたように一律で損切ライン、利確ラインを決めるというのは、値動きも業績もバラバラな各企業に当てはまるはずがありません。例えば、中小型の成長株ならボラティリティは高くなりますし、逆に時価総額の大きなディフェンシブ銘柄はあまり株価は動きません。そこに同じ基準を当てはまるというのはいかがなものか疑問があります。

また、仮にその決めた水準に指値や逆指値注文を入れた場合、最近はアルゴリズムがそこを狙って瞬間的に株価を下げたり上げたりしてタッチさせ約定させ、その後反転するなんてことも起こっています。

株価はご存じの通り上がったり下がったりするものですが、その理由も考えず株価だけで売買するというのは「株式投資」と言えるのでしょうか。

業績が良くても相場に引きずられて株価が下がったり、その逆もあったりするのが株価です。まずは、株価が動いている原因がなにかを調べるのが先ではないでしょうか。

2. ファンダメンタルズがもたらす「納得感」と「度胸」

売買の判断軸を「現在の株価」ではなく「ファンダメンタルズに基づいたシナリオ」に置くことで、投資の判断は劇的に変化します。

  • シナリオが生きている場合: 株価が一時的に20%下がったとしても、業績や成長ストーリーに変化がなければ、それは「格安のバーゲンセール」の可能性があります。その場合は、売るのではなく、様子見か買い増しかという判断になります。株価が下がると誰でも不安になりますが、ここは冷静になるところです。まずは下がっている原因を調べてみましょう。
  • シナリオが崩れた場合: わずか数%の下落であっても、前提としていた業績の下方修正や不正などの悪材料が出たならば、「即座に撤退(損切り)」するのが基本です。大切なのは、先ほども書いたように「いくら下がったか」ではなく「なぜ下がっているのか」です。株価の変動ではなく、ちゃんとした根拠で判断するからこそ、結果がどうあれ「納得感」のある売買になり、それが投資家としての経験値と度胸(メンタル)を育ててくれます。


シナリオってどうやって立てるの?と感じるかもしれませんが、決してインサイダーのような特別な情報を手に入れているわけではありません。誰でもアクセスできる「四季報」「企業のIR情報」「ローソク足チャート」の3つで十分に戦えます。

私の場合は企業の中期経営計画などが発表されていればそれを参考にします。なければ本決算の決算資料の来期の計画の部分。その資料を読んでみて、計画の立て方が具体的か、信頼が持てるかなどを見ます。ただの数値目標だけで具体性に欠ける内容だったり、目標が無謀だったり、そんなにうまくいくか?と疑問に感じたりしたら買いません。

また、チャートはよく投資家の心理を表すと言われてるように、株価の動きや出来高を見ると、どの価格帯で買おうとしている人が多いのか、売りたい人が多いのかなどがなんとなく読み取れます。(もちろんその通りにならないことも多々ありますが。)先ほどのシナリオが織り込まれているのか、いないのかなども意識してみてみるといいですね。

そのあたりを総合的にみて最終的な判断をしています。とはいっても、将来のことは誰にも分かりませんから、最後は直感や勢いだったりします。(笑)

分析ツール役割読み解くポイント
四季報・IR企業の本来価値(ファンダメンタルズ)業績の進捗、成長の根拠、シナリオの健全性
株価・出来高市場参加者の感情(大衆心理)パニック(恐怖)や熱狂(欲望)のピーク

3. 「金額の絶対値」に動じない

投資の経験を重ねると、「恐怖心」や「欲望」のコントロールが身についてきます。

資産規模が大きくなると、時には一日で数百万〜数千万円規模の評価損益が動くこともあります。最初に何%で損切や利確をおすすめしないと書きましたが、金額ベースで損切や利確をするのもおすすめしません。

資産の変動をお財布の中の現金と同じように考えてしまったら冷静な判断ができなくなってしまうので、売買の判断は金額の絶対値ではなく、ポートフォリオ全体における割合やシナリオの変化で見るようにします。

株価は「どこが底で、どこが天井か」を完全に当てることは不可能です。買ったら下がる、売ったら上がるという経験は誰でも経験のあることだと思いますが、底と天井を当てることができないので当然と言えば当然です。そこで、買ったり売ったりするタイミングを複数回に分けると、「あの時買っておけば」や「あの時売っておけば」という後悔を多少和らげてくれる効果があると思います。

4. 資産形成期と維持期で「戦い方」を変える

ここまでの話はどちらかというと資産形成期の話。資産がある程度できて、活用する時期になったら、無理に損小利大を狙いに行かなくても、これぐらいの利益で十分と早めに利確することもありだと思います。
資産規模が大きくなると、できることも多くなってきますし、数%の変動でも絶対額ではそれなりの額になりますので、ある程度リスクを抑えながらも利益を出すということが可能になります。
今までと同じような投資をして大損するということは避けなくてはいけません。

まとめ:投資とは「大衆心理の歪み」を淡々と突くゲーム

勝ち続ける投資家が持っているのは、特別な情報ではなく「感情をコントロールするメンタル」と「一歩引いて相場を観察する視点」です。

失敗も成功もすべては経験値であり、恐怖を乗り越えて「自分のシナリオ」で売買できた時、投資はギャンブルから再現性のある資産形成になります。

数字のノイズに惑わされず、企業を調べ、市場の声に耳を傾けて「自分」を持って臨んでいきましょう。